へっぽこ社会人の禁パチ生活録

パチンコ依存症のアラサー社会人がジタバタしてみるブログです。

『「ギャンブル依存症」からの脱出』を読んでみる その3

(今回で最後です)

 

ところで、本書の著者は医者であると共にアルコール依存症でもあったらしい。そして自身のアルコール依存症を克服する過程において依存症治療の本質を知り、「欲望充足メソッド」を提唱するに至ったというのである。

本書を開いてみると分かるのであるが、7章以降は全て著者のアルコール依存症との「格闘記」である。まるでギャンブル依存症とは関係のない書籍を読まされている気分になった…というのは穿った見方である。

ここで著者が言いたいのは、依存症の治療方法に正解は無い、と言うことであろう。

その証拠に「これをすれば辞められる」なんてことは書かれてないし、「自助グループ」に参加することに対する何とも言い難い苦々しい評価がしっかりと伝わってくる。色々な手段を試し、苦しみながら依存症と戦っていたのだろう。

そして自分自身と向き合い、満たされない欲望を適切な方法で満たしてやること。この点は著者のオリジナリティとして繰り返し強調して述べられている。

 

さて、ここまで手短に書評をしてみたのだが、僕が少しドキッとしたのは本書の前半部の文章である。

 

「専門的には、パチンコやスロットを『非戦略的ギャンブリング』と呼びます・・・パチンコやスロットは、多少のテクニックはあるものの、基本的にはギャンブルする側に戦略の立てようがありません。逆に言うとなにも考えなくできますから、自分の欲望にストレートに向き合う時間ときっかけを得にくくなります。」(本書、p.25)

 

僕はこの文章を読んでとても恥ずかしくなった。専門的な見解では、パチンコやパチスロは「ギャンブルする側に戦略の立てようがありません」というのである。加えて依存しやすいと言うのであるから、これはもう「無理ゲー」としか言いようがない。そして、それに喜んで飛びついていたのも自分なのである。

 

これで最後になるが、本書に「明快な依存症克服法」を望むのは間違いである。しかし、依存症を克服していく上で参考になるような考え方は随所に見られるのではないだろうか。何となく手にとって読んでみる価値は十分にあると思う。